境内のご案内
境内には、江戸時代に再建された諸堂のうち、方丈、寿塔、開山堂が本堂 (兼禅堂) として、祠堂の一部が開山堂として現存している。とくに東向きに建つ本堂、その後方の位牌堂、開山堂、寿塔など、黄檗宗寺院ならではの中国風の諸堂が階段状、一列に並んでいるのが特徴的である。本堂の北側、池庭 (方丈南庭) をはさんで方丈と庫裏の建物群があり、本堂と方丈は回廊でつながれている。回廊には時を告げるための魚椰 (開椰) や雲版が吊るされている。秋には苔むした参道の石段を染める紅葉が美しく、また孟宗竹の変異種という亀甲竹や四方竹など珍しい竹が植えられている。
本堂 < 京都市有形文化財 >
本堂は、説法を行う場(法堂)と修行の場(僧堂)の機能を兼ね備えているため、堂内の両側面には坐禅を行うための細長い板敷きの床が張られている。須弥壇には、衣をまとい、前結びの帯を締めた中国風の姿の本尊 釈迦牟尼仏坐像が安置されている。そのほか堂内には、中国禅宗の祖・達磨大師像や、黄檗宗寺院に祀られることの多い華光菩薩像 (伽藍菩薩)、真言律宗時代の尊像と伝わる阿弥陀如来立像、江戸時代に当寺を黄檗宗寺院として再興した葉室頼孝卿の頂相彫刻などが祀られている。
観音堂
聖観音菩薩像を安置しており、現在は洛西三十三所観音霊場の第30番札所となっている。
方丈
仙台藩4代藩主・伊達綱村が幼少期を過ごした屋敷を当寺へ寄進、移築されたものという。江戸時代の武家屋敷の遺構で上段の間がある。有名な仙台藩の御家騒動「伊達騒動」で、幼い綱村が命を狙われることもあったためか「武者隠し」があり、床の間の壁に 設けられた穴から抜け出せる仕掛けが残っている。
位牌堂 < 京都市有形文化財 >
本堂背後につづく位牌堂には位牌壇が設けられ、数多くの位牌が安置されている。
開山堂 < 京都市有形文化財 >
中興開山の大慈普応禅師鉄牛道機の像が厨子の中に祀られている。
寿塔 < 京都市有形文化財・非公開 >
開山堂の後方に建つお堂で、巨石の下に石窟がありそこに鉄牛禅師の舎利(遺骨)を安置しているという。
寺宝
京狩野の絵師・狩野永岳筆の衝立「雲龍図」が寺宝として伝わっている。また叡尊の自叙伝で仏教史料として評価の高い『感身学正記』の古写本を所蔵することで有名である。(非公開)